
内省的な音楽を聴いていると
こちらも内省的になる。
Keith Jarrettを聴きながら、
僕は昭和56年の豪雪を思い出していた。
当時僕は、築何十年のボロアパートに住んで、
駅前の喫茶店に勤めていた。
節約のため暖房器具は一切持たず、
寒さを紛らわすために
ワインをがぶ飲みした。
毎晩、違うワインを飲み
自分なりに評価していた。
なんという贅沢か。
不思議と健康でアルコール依存症にもならなかった。
ある日、積もった雪の圧力で窓ガラスが割れてしまった。
だが、幸いなことに
アパート自体が雪に埋もれていたため、
隙間風は入ってこなかった。
冷蔵庫の中で生活しているようなものだったが、
ストーブが欲しいとか、
脳裏に浮かびさえしなかった。
新聞紙を毛布のように体にかけると
意外と暖かかいのを知ったのもこの頃だ。
(別にその後の人生で役立ったわけではないけどね。)
何にも持っていなかったあの頃。
でも、希望に満ち溢れていたあの頃。
キース・ジャレットを聴いていたかは
よく覚えていない。
積雪でほうぼうが痛んだアパートは
翌年取り壊された。